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のんびり気ままなBL小説中心の読書記録。

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「あめの帰るところ」/朝丘戻。

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表紙につられて購入。あらすじすら読まず。
しかし、すごくよかった! ぼろぼろ泣くことはなかったが、眦から涙がこぼれた。

塾講師×高校生~大学生。
13歳差の年の差があるが、どちらも初恋同士、大変純粋な恋愛の話である。
テンポのいい会話が面白くて明るく、けれど静かでじっくりじんわり心に沁みる優しさと切なさがある。

高校3年になって受験のために予備校に通うことになった千歳。
予備校はマンツーマンの授業で、担当の講師が能登であった。
最高学府と思しき大学を卒業した能登であるが、本人はいたってやる気がない。
ひょうきんな話し方、自己評価の低い変わった性格で、生徒がやりたいようにやらせ、生徒が助けを求めてくれば適切な助言を与える。
自分からは決して生徒に関わらず、名前さえ覚えないという。
そんな能登を明るく裏表がなく、なんでも正直に話す千歳は叱る。
他人と関わろうとしない能登は千歳を「千歳飴」から「あめちゃん」と呼び、恋をする。

30歳の能登はそれまで女性とお付き合いをしたことはあるが、恋をしたことはない。
寂しい人生を送ってきて、千歳との出会いで他者との関わりが広がってもやはり閉じた世界を持っている。
付き合い始めた二人の思い出は透明感のある描写がされていて、すごく綺麗である。
能登の孤独を優しく包む静けさが美しい朝だと思う。


幸せ真っ只中、英語が好きで、翻訳家を目指す千歳はイギリス留学を考える。
能登に背中を押される形で、10ヶ月の旅にでる。留守番電話にプロポーズの予告をして。
ここまでが物語の前半である。
千歳が語り手となっているが、過去形である。
何かあるのだろうと勘繰って読んでいたが、なるほど、そうきたか。
ベタな展開ではあるが、やはりいいと思う。



後半は能登視点。
千歳は留学後、連絡が途絶えてしまうのだが、事故で記憶を失くしてしまったという。
二人の付き合いを知っている人は当然おらず、能登が大学でたまたま千歳を見つけた時、千歳の手には恋人の手が握られていた。

もともと自己評価の低い能登のこと。
愛する千歳の幸せを一番に望む彼にとって、自分以外の人と幸せならばそれでいいと思う。
そして何より、記憶を失ってしまった千歳は、能登が愛した「あめちゃん」ではないのである。
二人が共有してきた時間や思い出はすべて能登だけのものになってしまった。
記憶を失くした千歳に、能登は「ちいさん」というニックネームをつけ、「あめちゃん」と区別する。

いやいや。それは違うだろう。
記憶があってもなくても千歳じゃないの。
そう思ってしまったし、今まで読んできた記憶喪失ものでは記憶の有無に関わらず変わらない愛情を持っていた。

けれど読んでいくうちに、自分の考えは少し間違っているのかもしれないと思うようになった。
人をつくるものは周囲の環境である。
能登が愛していたのは、一緒に築いてきた時間や関係の上に成り立っていた「あめちゃん」なのである。
もちろん千歳という個人を愛していることには変わらないけれど、能登にとってはDNAは同じでも違う人間である一卵性双生児のようなものだったのではないだろうか。
それだけ彼にとって、あめちゃんと過した記憶は重要で、互いに培われたものがあった。

ちいさんは再び能登に恋をし、あめちゃんが能登に約束したプロポーズをし、能登にとっての「あめちゃん」と「ちいさん」が「千歳」になり、ふたりはやっと幸せを手にして終わる。
失った記憶が戻らないのが、BLの中では珍しいかもしれない。



脇役の女性陣がかなり好きだったなぁ。


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