Rosacyanin

のんびり気ままなBL小説中心の読書記録。

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「至福の庭~ラヴ・アゲイン~」/六青みつみ

六青みつみ「至福の庭~ラヴ・アゲイン~」 ill.樋口ゆうり リンクスロマンス

至福の庭~ラヴ・アゲイン~ (リンクスロマンス)至福の庭~ラヴ・アゲイン~ (リンクスロマンス)
六青 みつみ 樋口 ゆうり

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初めて読む作家さん。
なんとまぁ、痛々しいというか、酷い…。

心理カウンセラーの兄と二人暮らしの主人公・佳人。
体格がよく、腕力のありそうな男性に対して恐怖心を覚える対人恐怖症である。
26歳なのだが、怖がっておどおどしている様子が幼い印象をもたらすが、アロマセラピストとして人を癒したいという目標を持ったしっかりした一面もある。

ある日、兄のカウンセリングを受けに藤堂という男性が訪ねてくる。
ハンサムで、背が高い彼は佳人にとって恐怖心を抱かせるが、どういうわけか惹かれていく。
怖いのに会いたい。
相反する気持ちに佳人は戸惑う。


佳人が対人恐怖症(というより男性恐怖症)になったことには理由があり、しかし本人は覚えていない。
一番嫌な記憶だから、忘れることで自分で守っているのである。
その過去には藤堂も深く関わっており、元同級生・元恋人という関係でありながら、酷く佳人を傷つけた藤堂は一番の恐怖の対象となってしまっていたのである。

昔の藤堂は本当に最低である。
顔は綺麗だが地味な存在だった佳人を上京してだんだん派手になっていった藤堂は疎んじ、愚痴を聞いて受け入れてきた佳人の無償の愛が無尽蔵にあると勘違いした。
佳人が自分を好きだからかまってやっていると付け上がり、本当は自分が離したくないことを気付けずにいた。
だからといって彼が助けを求める佳人を見捨て、こっぴどく振ったことは許されることではない。
残酷な仕打ちを受けたのに藤堂のことを好きで、けれど信じきることができない佳人に藤堂は苦悩することになる。
ざまぁみろ。

両思いになったあとの佳人は、藤堂について記憶を失くしてから会った“藤堂さん”と過去に自分を傷つけた“大司”を別の人間として考えることで藤堂を受け入れていた。
反省して佳人を心から愛する藤堂はとても優しいが、過去の藤堂は平気で飽きたからと言って捨てる人間だった。
期待に応えなければ飽きて捨てられると思い、無理に体を開く佳人が痛々しかった。
今まで藤堂に不信感を抱いていたことに気付き、やっと二人の距離は近づいていく。
しかし大怪我をして歩み寄ったところで終わってしまったので、ラブラブなシーンが少なくてとても残念。
心が通じ合ったえっちシーンが欲しいよ……。

そういえばブラコンな佳人のお兄ちゃんもよかったなぁ。
藤堂をもっといじめてほしい。
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嬉しい話なんだけど、個人的に悲しい…

榎田尤利さんの絶版本の中で人気が高いものの一つに「永遠の昨日」がある。
クロスノベルスはなかなか増刷しないイメージがあって、需要はありそうなのに品切れ重版未定≒絶版なのである。
他社レーベルにも言えることだけれど、もっと重版してくれればいいのにと思ってしまう。
気に入った作家さん、作品ならば、新品で買いたいと思う。
それが作家さんにも出版社にも利益になるし、読者としても好きな本を繰り返し読んでいく中で思い入れのあるページがよれちゃったりとか、涙をこぼしてシミになってるとか、そんな思い出が刻まれていくのもいい。
ボーイズラブという狭い分野の中では難しいことだとは思うが、名作を手にしやすい環境は望ましい。

さて、本題。
11月18日に白泉社から四六版ソフトカバーで
「永遠の昨日」の新装版発売!!


イラストは紺野キタさんだとか。ほほぅ。
ちなみに値段は1470円だとか。
ソフトカバーにする必要性がわからないのだが(安いほうがいいじゃん)、利益は出しやすいんだろうな…。

大変喜ばしいニュースなのだが、個人的にはだいぶ悲しい。
絶版で人気の高い本は、なかなか手に入りにくく、それゆえオクやマケプレなどでは値が高騰する傾向にある。
感動できる本を求めて私も大枚をはたいたわけだ。しかも今年。
書き下ろしはないらしいので買わない方向で考えているが、中古を高値で買った人だけでなく発売当時に入手していた人にとってはなんだか微妙である。
持っていないとすごく嬉しいんだけれど…(複雑)

で、これからの出版業界に期待したいことは絶版本を電子書籍で配信してくれないだろうかということ。
私自身は紙の本が好きである。
画面に表示された文字を追うのは好きではないし、現段階の電子書籍には不満がいっぱいある。
けれど、重版することや出版しなおすことが難しいのなら、読みたい人は買うと思うのだ。
ついでに単行本未収録の雑誌掲載作なんかも配信してくれると嬉しいなぁ。
勿体無いと思うんだ。
進んでるところもあるみたいだけど(春ちゃんシリーズは電子書籍で読めたわけだし)、過去に出されてきた膨大な数を考えればまだまだだだろう。
どこかに自分の心を鷲づかみにしてくれる作品があるかもしれないと思うともどかしい。

「スーツとリボンタイ」/篁釉以子

篁釉以子「スーツとリボンタイ」 ill.三原夜羽子 アイス文庫

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新入社員の美幸(よしゆき)は配属先の部署で自分についてくれるインストラクターを見て驚く。
なんと告白したら強姦されかかった憧れの先輩・貴嶋だったのである。
(二人は中高一貫の全寮制男子校出身。貴嶋が高校卒業前に中3の美幸は部屋を訪ねた)
日々貴嶋とのエロい夢を見ている美幸だが、威圧的で自信にあふれている貴嶋に対して美幸は内気でおどおどしている。
しかもどうやら貴嶋は美幸を覚えていないらしい。

たぶんコメディ。
一生懸命な美幸はかわいいが、あちこちドジふんだり勝手に落ち込んだり忙しい。
なんとかくっついたあとも、美幸の後輩がやってきて美幸をふりまわすから可笑しい。
自信満々の攻めが嫉妬するのもなかなかよかったんだけれど…。


この著者の本は古いものばかり読んでいるので最近はどうだか知らないが。
受けと攻めの口調が皆おんなじだよね。
そして思考パターンがそっくり!
性格やストーリーは違うのに同じように感じるのはそのせいか…。

「全寮制櫻林館学院~ゴシック~」/雪代鞠絵

雪代鞠絵「全寮制櫻林館学院~ゴシック~」 ill.高星麻子 幻冬舎ルチル文庫

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カトリック系のミッション校で全寮制の中高一貫男子校、櫻林館学院が舞台。
これぞBLの学校みたいな設定。

中途半端な時期、5月に転入してきた高校一年生の春実。
色々訳があってやってきたのだが、頼りにしていた従兄には親戚だと周囲に知られないようにしろ、慣れ慣れしくするなと言われてしまう。
春実はたまたまその場で昼寝をしていた3年生の朝水に声を掛けられ触られて驚き、突き飛ばしてしまう。
右手を捻挫した朝水はソルトラムと呼ばれるグループのメンバーであった。
ソルトラムとは成績優秀・容姿端麗・家柄良しの生徒が各学年10名ずつ選ばれ、生徒会長もここから選ばれるため、実質生徒会みたいなものである。
ソルトラムは生徒たちの模範生みたいなものなので、より厳しい規律を求められる。
なので、春実は罰の意味もあって朝水の身支度を手伝うことになってしまう。
そんななか、春実の知らぬところでソルトラムではあるゲームが始まる。
次期生徒会長を決めるものなのだが、そのゲームの内容はえげつなくて、春実はソルトラムの2年生10人から狙われることになってしまう。


なるべく人と関わらず目立たず過したい春実だが、朝水は学院皆の憧れの王子さまであった。
嫌でも目立つことになってしまったわけだが、朝水の助言を受けながら少しずつ人付き合いを学んでいく過程はとても微笑ましい。
また、従兄から汚いから臭うだろうと言われる春実がすごく切ない。
入学時に与えられたロザリオや大聖堂に神の存在を感じ、今までの自分を清め守ってくれると信じ、心のよりどころにしているのだ。
とりわけ従兄にぼろぼろにされて噴水の中で体を洗うシーンが痛々しかった。

切ないけど、全体的には甘めかな。

「鈍色の空、ひかりさす青」/崎谷はるひ

崎谷はるひ「鈍色の空、ひかりさす青」 ill.冬乃郁也 幻冬舎ルチル文庫

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再読。
一度読んでから手をつけていなかったのだが、おおまかなストーリーしか覚えていない状態で読み返すと面白いなぁ。
かなりバイオレンスでシリアスな話だけれど、妙に甘いものよりずっといいかもしれない。
こんなんばっかでもつらいけど。

再び読んでみて思ったのは、基が那智に対して性に関してストレートにものを言うところが苦手だ。
なんだかアンバランスに感じてしまう。
それからやっぱりイラストは苦手だ。「最後から一番目の恋」よりは見れるけど。

「ほほえみを咲かせて」他、春ちゃんシリーズ/湊川理絵

湊川理絵『春ちゃんシリーズ7~9話』
「ほほえみを咲かせて」「エロティカ・ヘヴン」「愛のままにワガママに」


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既に絶版であるが、ルビー文庫から出ている春ちゃんシリーズは3冊。
「春いちばん」「秋色の女神」「クリスマス・ラブ」で、それぞれ2話ずつ収録している。
私はてっきりこれで完結しているものと思っていたのだが、早とちりだったらしい。
今はない雑誌に掲載されていた連作短(中)編の本作。単行本化されていない話がけっこうあるらしい。
それが今年になって電子書籍で配信されるようになった。

文庫に収録されておらず、配信されているのは「ほほえみ~」「エロティカ~」「愛の~」の3編。
ネットで検索したところ、他にもあるようなのだが、今後出てくるのかは不明である。
しかもこの電子書籍、お値段が高くてよほど読みたいと思わなければ買わない。
2編で850円!
しかも「ほほえみ~」は文庫に入っている1編と一緒になっている!(エロティカと愛のは1冊)
つまり1編に850円もかけたんだ!!あぁ…泣きそう。
こんなふうに単行本化されていない雑誌掲載作や、絶版の本を配信してくれるのはファンにはありがたいんだけどね。
電子書籍って、紙がない分安く提供できるのが売りなのではないのか?
出版社によっては紙媒体より高額で配信しているものもあるから、いつも値段とにらめっこしてしまう。
紙より安いか、紙で手に入らない本じゃなきゃ利用しないよ…、バカらしいじゃないか。


さて、電子書籍の愚痴はほどほどにして以下ネタバレ感想。


「チョコレート密度」/崎谷はるひ

崎谷はるひ「チョコレート密度」 ill.ねこ田米蔵 角川ルビー文庫

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角川書店 2007-02
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「ハチミツ浸透圧」「カラメル屈折率」のスピンオフ。
前2冊は未読だが問題なし。
「波光より、はるか」で薙にとっていい思い出のない男らしい風見ってどんなやつ?これだけじゃよくわからない…と思ったのだがこれを読もうと思ったきっかけ。
読んだ結果、謎は深まるばかり……。

造形作家・風見×大学生・城山。
風見の飼っている犬の世話を泊り込みでするというバイトを城山が友人の紹介で引き受けたことがきっかけで知り合うのだが、互いに遊び人なところがあるのでクラブで顔は知っていたという。
誤解から城山は誕生日に強姦されてしまうのだが、なぜだかその後も風見は城山を抱く。
城山は自分の中に風見への恋心に気付いても、風見はいじめるばかりで酷いことばかり言うので愛情もなく遊びで抱いているとしか思えない。

風見は相当変わっている人で、世間一般の観念はまったく通用しない。
さらにサドなので、とにかくいじめるいじめる。
好きだから執拗に抱いて、逃げたら追いつめたのだ。
どんだけお前は酷いんだ。
でも好きな分、酷くするんだろうから、城山は愛されているんだろう。
理解不能な風見の言動は面白いが、それだけである。
城山よ、本当にそんな奴でいいのかい?

キャラもプレイもやたら濃い。
そして感情移入がほぼ無理なので、読むのは楽しかったけれど、好みからは外れていたなぁ。

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